2011年6月30日木曜日

2011年6月29日 熊と査読結果と

実験の方はそれなりに順調に動いているので今日は家族サービスと決めた。

Great Smoky Mountainというのはこの辺りで有名な国立公園で、滞在地から1時間少々でいける距離なので行ってきた。基本的にはただの山なのであるが、アメリカ生活では山に遭遇するのも珍しい、というケースもあり人気のスポットである。ちょうどアパラチア山脈の南部分にあたる(北はメリーランド辺りまで連なるが、普段の生活エリアからは少し距離がある)。平日であるにもかかわらず大変多くの人出であった。ガトリンブルグとかピジョンフォージという名所スポットとなっている町があるのだが、そちらは車も多かろう、ということでタウンゼントから山に入ることにした。途中の道は空いていたのでよかった。山に入ってすぐに川に立ち寄ると、ちょうどそこにいたおじさんが、子供たちに使わしてやっていいよと大きな浮き輪を貸してくれた。予期せず川遊び。その後ちょっとしたラフティングまでできて子供たちは楽しそうにしていた。さらに山に入り、車でドライブしながら適当に停まっては景色を眺めたり散歩したり。鹿や七面鳥は期待通り見えたのだが、熊はさすがにあきらめていた。熊を見やすいのは朝10時までか午後5時以降(長男がパンフレットを読んで教えてくれた)とのことで無理だろうと高をくくっていた訳だ。が、たまたま子供たち三人と歩いていたら熊発見。パークレンジャーが自転車で駆けつけて「ルールを知ってるか?熊からの距離は50ヤード(およそ45m)以上だから、もう少し下がってくれ。」といわれる。次男が母を呼びに行き、ぎりぎりで全員野生の熊をみることができた。その後他の観光客がきたのだが、そのときには薮に隠れて見えなくなっていた。野生の熊などみたのは初めてだったのでよい経験であった。この国立公園、日本から実験でこの辺りに出張したときにも訪れたことがある。そのときは、「うーん、山だね」という感想だったのだが、アメリカ暮らしが長くなってきて山の風情がわからなくなっているからだろう、かなり新鮮で人気のスポットである理由が少しわかった気がする。

ホテルに戻り、メールの整理。5月初頭に投稿していた論文の査読結果がかえってきた。結果は、修正せよ、ということであるが、再解析(新しい解析を試せ)すれば良さそうな感じなので、がんばって修正しよう。実験の方は順調に進んでいるようで、明日の朝で終了となる。その後共同研究者と議論し、明日の予定などを確認。夕食はFlat Water Grillで。川縁の店なので、外を選んだのだが、ハエが多くて落ち着いて食べられなかった。次回からは店内を選ぶことにしよう。ここの滞在も後二晩を残すのみとなり、その後はインディアナだ。

2011年6月28日火曜日

2011年6月28日 線源復活

昨夜からおいていた試料の様子を見ると、どうやら、低温のデータは使えるのではないか、という淡い期待が得られた。

午前中はMOさんと新しい試料のデータをチェック。以前測定している似た系のデータとの整合性は良さそうで、どうやらきちんと測定出来ている模様。測定時間に関してはいつも使っている装置とそんなに変わらない。質の良いデータであればよいのだが、エラーがどのくらいとかまではきちんとプロット出来ない。

午後、試料が分離していないかどうかを念のため確認する為に試料を取り出す。すると、試料の温調をする為の水が試料層に漏れている事が判明。急遽測定を停めて原因追及と再発防止策を練る。数時間ロスし、かつ温度調整にかかる時間が大幅に増えた。夕方測定を再開して終了。

夕食はPBさん、AHさんと一緒にTaste of ThaiというKnoxvilleにあるレストランで。美味しかった。

夜メールをチェックしてみたら、またしても線源が数時間とまるという。色々複雑な機械なので、完璧に運用するのは難しいようだ。それにしても、終わりが見えて来た今思うのは、今回は線源の不安定さと、試料に泣かされた。それでも少しはデータが取れている様なので、なんとかそれを形にするしかない。

2011年6月27日 線源交換

朝から昨日の続きでどこまでデータが使えるのかMOさんと議論。データを細かくチェックしながら見てみたが、どうやら最初から分離していたのか?という結論にいたる。でも、試料を入れたときは大丈夫だったのに。。。

そうこうしていたら、イオン源を交換するということになり、中性子供給が停止。その間に、取り出した試料を再度測定すべく持ち出し許可を得ようとしたが、計算上非常に小さいながらも放射線を出しているという事で持ち出せず。でも、線量を測定してみても有意な線量は検出出来ない。ルールが現実を凌駕する最悪のシナリオ。結局試料を僕たちが触る事は出来ず、研究所の人の手助けが必要との事。試料を触れる人を捜して来て、その人に色々やってもらうのだが、放射性物質として扱う為思う様な作業が出来ない。

夕方、ZY君と昔のデータについて論文化についての議論。その後、晩ご飯にすしを食べに行った。以前行ったときはそれなりに美味しかったのに、味が落ちていた。残念。

2011年6月26日 相分離

朝から研究所へ。論文の議論は出来ず。そのかわり、GBさんとの共同研究についてコメントを送信した。

実験は、線源が不安定なので思う様に行かず。。でも、こればっかりは仕方がない。

データを見てみる事にする。MOさんがreductionしてくれて、データを見てみたが、以前に別の装置で測定したデータと少し違う。。。MOさんは解析ソフトの問題ではないか、というが、果たして?

午後はAHさんが次の試料の準備をしつつ、僕はハイライトの構想を練りながら、図を作りはじめた。夕方から次の試料の測定、と思ったが、最初の試料を取り出してみたら相分離していた。何故だか理解不能。その後どうしてそうなったのか考えながら、データも見てみたが、どこまでデータが使えるのか分からず仕舞。結論を明日に持ち越す。

遅くなったので、夕食はサブウェイ。

2011年6月25日土曜日

2011年6月25日 洞窟

今日は研究所に行く必要がないので、家族と一緒に洞窟に出かけた。Lost Seaという名の洞窟で、1700年代(?)から発見されて、地元の人達の遊び場になっていたらしい。一時は洞窟内にBARもあったらしいのだが、地下で飲むと気圧の関係で通常の倍程度飲めるらしい。でも、地上に上がる際に、酔っぱらい状態がひどくなり、階段で転んだりする事が多くて廃止されたとか。1900年代の初頭に、地下に湖がある事を12歳の少年が発見したらしい。しかし、その後開発は進まず、結局その発見者が75歳になった頃、ようやく地底湖の存在が世に出て商売になって行ったとか。その発見者は77歳で亡くなったそうで、あまりうまみを見る事が出来なかったそうな。今でもその血縁者が洞窟を訪れるそうなのだが、入場料が$2offなのだそうだ。

地底湖は曰くアメリカ最大との事。それにしてはなんだか発見者にとってうまみの少ない話の様な気がする。きっと商売を始めた時に権利を買い取るとかなんとかで莫大なお金が発生したのだろう、とか考えていた。地底湖にはrainbow troutが生息していてアトラクションと化している。尤も、元々生息していた訳ではなくて40年程前に放したのだそうだ。今では若干目が退化し始めているとか。地底湖で群れをなす魚を見るのはなかなか出来ない経験で割と面白かった。水はおよそ98%のpure waterだそうで、カルシウム等のミネラルが溶けているとの事。だから、lost "sea"なのであって、lost "lake"ではないのだろうが、テネシーの内陸なので、"sea"という響きに若干違和感を感じるのは僕だけだろうか。

夕方ホテルに戻りホテルのプールで子供と戯れる。AHさんが途中から参加して子供達はとても楽しそうだった。夕食はOlive GardenでAHさんと家族と一緒に食べた。明日は論文の打ち合わせと今後の実験のスケジューリング、それから本題のデータチェックである。

2011年6月24日 見学

午前中は、洗濯をしながらGBさんとの共同研究のコメントを考える。

お昼をFlat Water GrillとかいうレストランでOYさんのグループとKさんのグループと一緒に食べた。

午後研究所に出向き、MMさんを訪ねる。施設見学をさせてもらい、その後ユーザールームでコメントを書き始める。

夕方からMMさんのお宅にお邪魔になり、奥様の手料理を頂く。

実験の方は線源の不安定な状態が続き、結局、測定時間がどんどん長くなる。夜MOさんから電話があり、日曜日の夕方まで測定がかかるとのこと。PBさんとAHさんに連絡して終了。なかなか結果が見られなくて少々ストレスになりつつある。

2011年6月24日金曜日

2011年6月23日 不安定な線源

今日からいよいよ試料の測定。朝からでかけてみると、線源の強度が徐々に下がり続けている模様。理由は不明らしい。イオン線源を交換したばかりなので、それがまだ不調なのかな?と勝手に想像。MOさん、TKさん、PBさん、AHさんと一緒に今後のスケジュール等の打ち合わせを行い、昼食後試料交換。打ち合わせでは温度変化が自動では難しいかも、という事だったが、Nさんの頑張りで制御可能になりました。打ち合わせ後に控え室に戻る時JBさんに偶然遭遇。お元気そうで何よりでした。昼食時にはCさんに久しぶりに会い、韓国の事とか少し話しを聞きました。カフェテリアに行くといろんな人が居る。午後試料の測定を開始するも、線源強度がまだ下がり続けるので測定時間の設定に苦しむ。ここの装置はまだモニターでの測定が出来ず、時間によるセッティングなのでこの辺りはそのうちに修正されるだろう。見た目のデータはきちんとしたエコーが出ているのだが、最終結果を見てみないと何とも分からない。規格化が少しうまくいっていない所があるのかも?とMOさんが言うし、試料の結果を見て今後の実験スケジュールにも反映させる予定。

夕方ZYさんやMMさんに連絡をして会う算段をしていたら、PBさんとAHさんと今後のスケジュールについての議論となりました。結局今日はMMさんともZYさんとも会えなかったが、滞在中に会えそうという事で一安心。その際、MOさんが来て次の実験の可能性について日程を提示してもらった。僕はその頃日本に居る予定なので、日本からのskype参加が濃厚で、後はPBさんAHさんのスケジュール次第、と言うところ。

夕食はMagic Workとかいう中華屋さん。日替わり定食?のような一種類しか(?)メニューがないこじんまりしたお店だったけど、安いしそこそこ美味しかったので僕は満足。このお店、今ちょうど日本から来ているMKさんに家内が教えてもらったらしい。AHさんもLPさんらとそこに行ったという話をしていて(場所や名前は不明だったが)、ちょうど同じ店の話しをしていたようでAHさんも満足だった。ホテルからも近いし、何より安さが魅力。

ところで、車。僕は二台所有しているのですが、今回の冒険には一台を利用しています。もう一台は知り合いに乗ってもらっていて、保険だけドライバーの追加をしています。ドライバーを追加するのに保険料金が発生するのだが、思っていたより安かったのでよかった。

2011年6月22日 ダウン

午後試料交換の予定だったので、午前中は子供達を連れてサイエンスミュージアムへ行ってみました。小さなミュージアムでしたが子供達はそれなりに楽しんだ様。その際、MOさんから電話があり、線源がダウンしているということで、昼食にメキシカンを食べました。どうやらイオン線源の交換が必要だったらしい。ビーム復活後、バックグラウンド測定を終わらせてから次の測定にかかるという事で夜中に出勤。その後分解能の続きを測定にかけました。なんか、ビーム強度が下がり気味なのが気になります。夕食はKnoxvilleのOliveとかいうイタリアンで。皆満足。

2011年6月21日 実験二日目

今日は火曜日という事で線源の調整があるとかで8時から午後4時までビームが出ません。という事で、午前中は家族がホテルのプールで遊んでいるのを見ながらGBさんとの共同研究の件で資料を読んで検討を行ってみました。午後、出かけてみると、昨夜に装置の問題で測定が途中で止まっていたらしく、予定していた測定の半分程しか分解能の測定が出来ていませんでした。あらら。

午後は試料調整をして夕方からその強度チェックをして、バックグラウンドの測定をかけてホテルに戻りました。強度に関しては自分とこの装置で測定するよりは数割強いようだ、と言う印象。データの質を見てみないとまだ良く分からないけど。

2011年6月22日水曜日

2011年6月20日 実験初日

今日から実験です。まずは、放射線取り扱いのトレーニングを受けてから装置責任者と実験の打ち合わせに。

今回は試料環境が完成していないということで、自分達の試料環境を持ち込む予定でした。でも、話してみると、それなりのものが用意できているようで、ドイツ等でよく利用している石英セルが使えるとの事。温度範囲も問題なさそうなので、それを使ってみる事にする。パルスなので、測定条件の決め方とかちょっと頭を使わなくてはならないかと思っていたが、そうでもなくて、測定の仕方としては原子炉の場合と同じような考え方でよさそうだ。測定条件を決めたものの、装置の立ち上げが思ったように行かず、分解能の測定を開始したのが夜になってしまった。

ここの分解能標準試料はGrafoilで、日本で使っていた物だった。アメリカに来てからはCarbon Powderを使っているので、非常に懐かしい思いでGrafoilを眺めた。

装置責任者のMOさんと話をしていると、大きな勘違いに気がついた。僕はここの装置を"monster"と称していたのだが、当然、positiveな意味で使っていた。でも、どうやら、negativeなイメージで聞いていたらしく、PBさんやAHさんを交えた話でようやく話が伝わった。それにしても1年以上勘違いされていたと思うと、よくビームタイムをくれたものだと思った。

夜飯は家族と別で、Panera Breadに行ったら閉まってたのでRuby Tuesdayでトラウトのグリルを食べた。

2011年6月19日 冒険スタート

しばらくの間、ブログを書く事をやめていました。でも、さすがに、いろいろな出来事があるかもしれないので、しばらく書いてみる事にします。

冒険のスタート。

というのは、半年ほどメリーランドを離れてインディアナ中心の生活を送る事にしたのです。

まずは、メリーランドのレントハウスを大家に返して、テネシーに向けて出発です。テネシーは某研究所で実験です。今回はパルス中性子を使ったスピンエコーを初めて使ってみます。PBさんとAHさんと一緒の実験です。皆とは現地で集合します。冒険ということで、家族も一緒なので、みんなで車に乗って移動しました。

およそ8時間ほどで到着。

ノックスビルのCahoun's restaurantで食べました。久しぶりにRibを食べましたが、子供達にはあまり評判が良くなかったようで。