2008年8月25日月曜日

International Union of Crystallography (IUCr2008)

23日の土曜日から表題の国際会議が始まった。この会議は、国際結晶学連合が主催する全体会議で、結晶構造解析を中心として、様々な散乱技術に依って物質の構造研究を行う研究者の母体となる会議である。自分としてはこの会議には初参加である。自分が専門とする小角散乱の分野では、結晶構造解析はほとんど行われないので、これまで参加しようとは思っていなかった。今回は大阪開催、と言うこともあり、初めて参加してみた、と言う訳だ。

久しぶりに、G研のYF先生に会った。F先生はProgram CommitteeのChairでもあるので、参加者の様子について聞いてみたところ、参加表明者は2600人にも上るそうだ。とても大きな学会である。印象として構造生物学関係の発表が多いので参加者数を聞いてみたところ、およそ半分の研究者は構造生物学関係者である、ということで、結晶構造解析の分野で如何に散乱、回折法が盛んに利用されているかを物語っている。特に、タンパク質の結晶構造解析にX線や中性子が威力を発揮しているのだ。特にX線は強い線源強度と沢山の線源数を使って、多くのタンパク質の結晶構造解析に利用されている。その発展に寄与しているRIGAKUという会社は、昼食を無料で提供し、ランチョンセミナーを開催していたので、参加してみた。タンパク質の結晶構造解析を行うためには当然タンパク質結晶を育成しなければならないのだが、それを自動的に行う装置が開発されており、それに関するセミナーを聴いた。ロボットアームが台座上を前後左右に動き回り、結晶育成に必要な手順を自動的に行ってくれる。人間は原料のセットとプログラミングをするだけで後はこのロボットがすべてを行ってくれる、と言う事らしい。これにX線の線源を取り付けて構造解析まで一連の流れ作業の中で行う事ができるなら(きっと出来ると思う)これはもはや「研究」の域を超えてしまっている様に思う。まるで未来のロボットのイメージなのだが、それが現実の装置に搭載されているということで、とても印象的なセミナーだった。

2008年8月22日金曜日

サテライト二日目

サテライトの二日目は朝から主にx線装置やx線を使った実験結果についての話が多かった。午後からあったcoherent x線のセッションが面白かった。

しかし、こうやって話を聞いていて気がついた。スピンエコーの話がないのだ。プログラムを見てみると、スピンエコーの話をするのは僕だけだ、と言う事にようやく気がついた。一応簡単に原理を説明しないとわかってもらえないかも、と思い、急遽準備をやり直すことにした。

夜はバンケットと、その後SRのKさんと議論し、その後発表準備を行った。なんとか30分で収まったようだが、さて、この話内容が盛りだくさんであるのだが皆さんにご理解頂けるかどうか不安で一杯だ。発表は今日(三日目)。こうなったら、なる様にしかならないので思い切って行ってみましょう。

2008年8月21日木曜日

IUCr2008 Satellite Meeting

SPring-8にやって参りました。今日から国際結晶学会のサテライトミーティングとして、X-ray and Neutron Techniques for Nano-Structural Researchが始まりました。午後4時からSPring-8のツアーに参加し、R研のKIさんに久しぶりに会ったり、NY先生にご挨拶したり、アメリカから来てるBRさんに会ったり、G研のSKさんやJSさんに会ったり、G大のMHさんやK研のHSさんに会ったりと、いろんな人に久しぶりに会った。SRのKさんやSCのNさんなど、懐かしい人たちで一杯だ。

さて、今日の話は、午後7時から始まり午後9時までに4件の発表があった。主に小角散乱法を使った高分子や複合系の構造の話だった。明日は朝から目一杯発表があって、夜バンケット。僕の発表は明後日だ。今日の夜はビアパーティだったのだが早々に撤収して発表準備を行った。うまく発表できるか不安だ。と言うわけで明日のバンケット後も早々に撤収と言うことになりそうだ。

2008年8月20日水曜日

Virtual Journal of Biological Physics Research

久しぶりにネット環境を得ました。

この間、京大で研究会に参加したり、アメリカ領事館に行ってvisaの面接を受けたり、バケーションしたりしてました。

で、メールを開いてみたら、今度は、Virtual Journal of Biological Physics Researchに先日のPRE論文がselectされた、と言うメールが来ていました。一度選ばれると選ばれやすい、と言う事でしょうか。でも、こうしていろんなeditorが認めてくれる事は嬉しい事です。きっと、誰もやっていない事をやった、と言う事を認めてくれているということで、研究者としては嬉しい限りです。

2008年8月10日日曜日

彼がこの世を去ったのはもう1年半前の事だった。

お葬式にも行くことができず、お墓参りすら出来ないままに時間が過ぎてしまった。今の僕が頑張っていられるのは、大学生時代に彼と切磋琢磨したからだ。そんな彼にお礼を言う事もないまま、時間だけが過ぎていた。

ようやく今日、彼の墓前に手を合わせることができた。それとともに、彼がこの世を去った事を現実として受け入れることになる。彼の母、妻、子といろいろ話をさせてもらった。彼女らは彼の死と向き合いながら彼女らの人生を改めて前に向かって進んでいる。息子は、彼に似ていた。きっと彼の子供時代はこんな感じだったのだろうと思った。そして息子は、彼に似て物わかりの良い、理知的な子であった。間違いなく彼の残した彼の生の証である。

翻って自分の生についても考えさせられた。自分には、妻と四人の子供がある。彼らと彼らの人生について今後見守って行ける自分は、なんと幸せなのだろうか。僕の友は天からそれを行っている。僕が僕の友の家族の力になれることがあるならば、どんな事だってしてあげたいと思う。

お母さんは、死んだ息子の事を憶い、一年間泣き暮らしたそうだ。かわいい息子だったのだ。将来を期待できるいい子だったのだ。そんな彼がいなくなった事は、親不孝である。それはしかし、今更どんな事を言ったって彼が帰ってくるわけではない。お母さんは最近になってそう言う事を受け入れられる様になったそうだ。それでも、空を飛ぶ飛行機を見るたびに、その飛行機に息子が乗って帰ってくるのではないか、という気持ちを持つのだそうだ。そう言う気持ちを聞くと、自分の両親の事を想う。きっと彼らも同じ事を考えるだろう。そして勿論、人の親である僕だってそう想うのは間違いない。

友は、死して尚、僕に人生の教訓を教えんとしているのだろうか。

友よ。
ありがとう。


遅くなって、本当にごめんね。どうぞ安らかに眠ってください。

合掌

2008年8月8日金曜日

Virtual Journal of Nanoscale Science & Technology

夕べは時差ぼけと寝不足で夜子供たちを寝かせる時に一緒に寝てしまった。

と言うわけで、朝早く目が覚めたわけだが、メールを開いて何やら見慣れぬものを発見した。

Virtual Journal Publication Noticeというタイトルのメールで、内容は、先日PREに掲載された論文が、
Virtual Journal of Nanoscale Science & Technologyに選択されて掲載された、というものだ。これが何なのか、最初僕には理解不能だったのだが、調べてみたら次のような事がわかった。

Virtual Journalというのは、AIP (American Institute of Physics)が発行しているweb上のみで発行されているvirtualな雑誌で、提携雑誌に掲載された論文のうちのいくつかをtopicとして選び、タイトルや要旨を掲載しているというものだ。要するにeditorが選んだ論文のリストが載っているのがVirtual Journalと言うわけだ。

AIPが発行しているVirtual Journalには5種類あり、そのうちの一つが今回我々の論文が掲載されたVirtual Journal of Nanoscale Science & Technologyと言うわけである。このVJは2000年から発行され、毎週いくつかの論文をピックアップしている。今回は8/11号に掲載されたのだが、その週で選ばれたのは108報の論文である。提携論文誌の中で今週全部でいくつの論文が発行されたのかは知らないが、今号にPREから掲載されたのは、我々の一本だけだった。

と言う事から想像するに、実はこれは結構名誉な事であって、多くの論文の中から少なくともeditorの目に留まったと言う事である。自分達の行った研究がこのように注目された、と言うのは嬉しい事である。

と書いたところで、wikipediaで調べてみたら、次の様に書いてあった。

米国物理学協会は、米国物理学会と共同で、2000年から、幾つかの最先端分野で、Virtual Journalを発行している。これは、紙媒体の雑誌ではなく、インターネットだけで公開されている。また、Virtual Journalが論文を募集するのではなく、米国物理学協会と米国物理学会の選考委員が、ネイチャー・サイエンス・その他の全世界の主要な物理系学術雑誌の中から、論文を選抜する企画であり、真の世界一の物理系学術雑誌として位置づけられている。(ウィキペディアの「米国物理学協会」より抜粋)

すげー

2008年8月7日木曜日

日本へ

夜遅く寝たのだが、朝早く目が覚めた。子供が遠足の日に早く起きてしまうようなもんだろう。近所のスーパーで買い物し、KHさんの家まで車で向かった。KHさんに帰りの日のお迎えをお願いしているので車を彼の家に置きに行った、と言うわけだ。そして、彼に空港まで乗せてもらった。KHさんは一人でダレス空港からゲイザスバーグまで戻るのは初めてらしいのだが、無事帰れただろうか?

空港でチェックインしようとしたら、なんだか見た事のある顔が…。T大B性研のNO君だ。そう言えば、ORNLで実験して帰る日が僕の飛行機の日に近いなぁ、と思っていたなぁ。。。すると、N君とさらにはHEさんもいるではないか。聞いてみれば、彼らは昨日の飛行機で日本に帰るはずだったのだが、飛行機のトラブルなどで一日ワシントンDCで足止めをくらったのだそうだ。で、結局空港では彼らとずっと話し、飛行機に乗ってもHEさんとずっとしゃべっていた。映画を観るでもなく、ひたすらワインを飲みながらしゃべってた。到着2時間前くらいになって、自分の席に戻り少し休んだ。結局ほとんど一睡もしないまま成田に到着した。

成田でドルを円に換金した。KHさんとの話でダレス空港と成田で換金してどっちがレートが良いかをチェックしてみよう、と言う事だったのだが、ワシントンダレスの待合室近くの換金所では$1を96円くらいで売っていた。これはレートが悪すぎる、と思って換金せず(因に119円が$1と交換になるのだそうだ。)、成田で換金したのだった。成田では普通に、$1が106円くらいだった。外国で換金する方が高い、と言うのはなんだか不思議な感じがしたのだが、やはり自国の通貨を外貨に変える時にはレートが悪くなり、外貨を自国の通貨に変えるのは普通にやる、ってことなのかな、と思う。つまり、円を外貨に変える時は、成田ではなく到着した空港で換金するのがいい、ということですね(この説はKHさんの言う通りだった)。

成田から広島へは飛行機に乗った瞬間に寝る。着陸の衝撃で起きる。というパーフェクトな時間を過ごして少し元気が回復。父が空港まで迎えに来てくれた。今回は無事荷物も届き一安心だった。

実家に戻り、美味しい食事を食べ、甥っ子達と戯れ、お風呂に入った。

ビールを飲みながらメールを開くと、以前NSEについてのチュートリアル講義をしたのだが、そのスライドをweb上にアップしたいから送って欲しい、と言うメールがきていた。keynoteからpdfに落としたのだが、ファイルサイズが大きすぎる。サイズを小さくするのに手間取ったが、Acrobat Professionalでtools/print production/pdf optimizer...を選ぶと、図柄のサイズを変更することができ、これでファイルサイズを小さくできる事がわかった。これは結構収穫だった。

で、結局、ポスターの制作はほとんど進まなかった。それにしても、ポスターに言いたい事を全部入れるのは無理かもしれない、と言う事に何となく気がついた。それはそれでやばいかも。

兎に角、無事日本に到着して一安心である。これから約一ヶ月国内のあっちこっちを歩き回ることになる。美味しい食事と懐かしい面子にあえる事を楽しみに、そして自分の発表がうまく行く様に体調を整えなければ。

2008年8月6日水曜日

久しぶりにやばいかも

明日から日本出張だと言うのに、準備ができていない。口頭3件とポスター1件の発表準備をせねばならないのだが、出来ていない。これはヤバいかもしれない。口頭発表は直前までなんとかできるにしても、ポスターは印刷せねばならない。明日の飛行機の中でポスター制作の続きが必要だろう。

今日は朝ゆっくり行くつもりだったのだが、何となく起きたので職場へ。OYさんの実験の温調がうまく行っていなかった。早めに出勤して良かった。温調を直して測定をかけ直して、後は自動。

その後は主に発表準備にいそしんだ。また、出張直前なので、ボスらに挨拶に回った。皆快く送り出してくれる。嬉しい限りである。さて、日本ではvisaの更新、研究会、国際会議、お盆休みと忙しくなりそうだ。1ヶ月後、無事帰ってこられる事を祈りつつ、今日はこれからパッキングである。そして今日買い物が出来なかった分、明日の早朝から近所のスーパーで買い物だ。

2008年8月5日火曜日

長い一日

今日は朝いつもより早く出勤。OYさんの実験の試料交換をする。空セルをセットして、夜まで測定をかけた。測定を開始して落ち着いたら、もうお昼ご飯の時間。今日はインディアンレストランへ行って食べた。美味しかった。

午後は久しぶりに机に向かって仕事を始めたのだが、、、昨日の夜寝付きが悪かったのもあり、午後は眠くて仕方がなかった。発表準備をしていたのだが、眠気に負ける。

日本に居る共著者から論文の草稿が届いた。ざっと目を通し、最低限必要な体裁についてのコメントを送った。内容についてはほぼいい感じなのだが、返事をペンディングした。

その後、STさんとHFさんとまたしてもゴルフへ出動!今日はハーフで50だった。ひどい大たたきがなくなっている。練習の成果だわ。その後、晩飯もとらずに職場へ戻り、実験の続きを行う。

空セルは終了したので、試料を交換し、最終の必要なデータとりにgo!

のはずだったのだが…。強度チェックをしてみたらどうも良くない。スピンエコーを取れるような試料じゃない事がわかった。とっても残念だけど、その試料を諦めて、元の試料に戻し、もう少し測定を続けることにした。セット終了したら夜中だった。

腹減ったので、帰りにバーガーキングのドライブスルーに並んだ。前の車が進まない。店員の対応がとっても遅いのだ。で、ようやく僕の番が来た。注文しようと思ったら、電気が消えた。え?2時で終了?並んでても終了?????

というわけで、アメリカ憎しの気持ちを大にしながら何も買えず帰宅。アー腹減った。

2008年8月3日日曜日

引っ越し

昨日は、一日中家に引きこもって日本での発表準備にいそしんだ。でも、まだ完成しない…

今日は朝から引っ越しの手伝いだった。うちの車は7人乗りのミニバンで、座席を外すと結構たくさん荷物が入る。今日は、帰国が決まったHIさんの家の荷物を、うちとHさんの家に運ぶ、と言う段取りだった。Hさんが大きな荷物がある、と言う事でトラックを借りようとしていたのだが、うちのミニバンで運べばタダだから、うちのでやりましょう、と提案していたわけだ。案の定、たったの2往復で全ての荷物を運ぶことができた。結構時間がかかるかと思っていたのだが、さにあらずで、あっという間に1時間半程で終了した。

その後、総勢18人で集まってBBQ。Costcoで購入した肉と野菜を持って行ったら好評だった。やっぱ、Costcoの肉はおいしい。夕方までわいわいやって、午後5時頃職場へ。実験の進行具合をチェックして、もう一方の実験の試料交換につきあって、1.5時間程で帰宅。

その後、打ちっぱなしに出動した。

日本での発表準備や論文執筆があると言うのに、こんな生活で良いのだろうか。と、少し思う。

2008年8月1日金曜日

結婚してない証明

今朝、ポケベルが鳴った。装置がトラブルを起こした時に自動的に鳴る様になっているポケベルだ。電源の問題で装置が止まっていた。設定し直して、測定を開始した。その後はトラブルもなく進んでいる。

午前中は、発表の準備を続ける。10時過ぎ、BSの実験についての打ち合わせをはじめ、終わったら昼ご飯の時間だった。

午後、発表の準備をしていたら、AFさんがやって来て、彼と彼女が結婚してないことを証言する書類にサインを頼まれ、サインした。これって、イタリアで結婚する人はみんな出すことになるらしいのだが、結婚していない事を証明しなければならないらしい。それで、数人の保証人のような人が必要で、サインするのだそうだ。こういう儀礼的なものに関わる事があるとは思っていなかったが、良い勉強になった。

その後、OYさんとTYさんにNSEの解析のやり方を説明した。

先日見つかった解析ソフトのバグが修正されて、今は正しい解析結果が出ることになったそうだ。よく考えてみると、例えば僕の実験ではこのバグはほとんど影響がないだろう。でも、強度の弱いものは問題になるかもしれない。

いよいよ金曜日。来週の水曜日には日本へ発つ。まだ何の準備も終わっていないが大丈夫なのだろうか…