2008年9月24日水曜日

入国トラブル

K大のKS君が今日から40日程滞在するためにやってきました。今回の彼の目的は、前回ここで実験して得たデータの追試と論文執筆です。彼は、K大が学生を海外に派遣するための基金に応募し、自らその渡航費を獲得してやって来た、というわけで、これだけ見ればもう一端の研究者のようである。

と感心していたわけなのだが、今日到着した彼から入国の際のトラブルの話を聞いた。我々の研究所で実験を行うためには、必ず、business tripの扱いにしてもらって入国する必要がある。以前ORNLを訪問した時彼はそれで失敗しているから、この点については問題ない、と思っていた。ところが、このビジネスでの入国でトラブルになった、と言うのである。話を聞いてみれば、ビジネスだと言ったら、入国審査官に怪しまれた、と言うのだ。何故だろう?確かに彼は少し風貌が怪しいし、挙動不審に見ようと思えば見えない事もない(KS君ごめんね)。ただし、そんなに変なやつではない。もっと怪しいやつは世の中に五万といるはずだし、そんなに怪しいはずはない。

「ビジネスとはどんなビジネスだ」
『研究者だ』
「怪しい。どんな研究をしているんだ」
『xxとxxを混ぜたときの臨界現象を中性子散乱を使って研究しているのだ』
「怪しい。ちょっと来い」

というわけで、別室に連れて行かれたらしい。聞いた事ない話である。

別室でもいろいろ問いつめられたらしい。ただ、勿論彼にはやましいことはないので、研究者だ、実験のためにきた、と言う事をしつこく繰り返していたらしい。

よくよく話を聞いてみると、審査官が気にしていたのは、「お金」の事らしい。それで納得した。

一ヶ月も研究のためにやってくる彼はどこからお金をもらうのか?

これが審査官の疑問だったのだろう。そしてKS君はそれに対して答えを言わなかった。もし、そのお金の出所がアメリカ国内の研究所からだとしたら、それは、きちんと就労ビザなり交換留学生ビザなりをとってこなければならない。それを審査官は問うていたのだろう。

つまり彼はこう答えれば良かったのだ。

自分の渡航費と滞在費は、K大がサポートしてくれています。その証拠はこれこれです。

これなら、きっと審査官は何も言わずに通してくれたはずです。

なるほどなぁ。きちんと審査してるんだなぁ、と思った出来事でした。いずれにせよ、もしかしたら強制退去になるかもしれない所を、審査官も納得してくれて入国させてくれたわけで、運が良いのやら悪いのやらよくわからないですね。

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